顎関節症

知っていますか?顎関節症

顎関節とは、頭蓋の側頭骨と下顎の骨(下顎骨)をつないでいる関節で、両耳のすぐ前にあります。 両耳の前に指を当てて口を動かしてみてください。口を上下に開けるだけでなく、左右に動かすことができるのがわかると思います。

この顎関節は、下顎頭(かがくとう)と下顎窩(かがくか)、関節円板(かんせつえんばん)で形成されています。 関節円板は下顎頭にぶらさがっているような状態で、顎が動くときに骨と骨がこすれないよう、クッションの役割をしています。 この関節円板が正常に働くことで、顎関節がなめらかに動くのです。

関節円板にズレや変形が起こると、顎関節症が起こります。顎関節症は、不正咬合、歯ぎしり、ストレスなどを原因とする顎の病気です。 大きく口を開けると耳の前で雑音がする、関節部に痛みがあるなどの軽症から、日常生活さえままならないほどの重症までさまざまです。

炎症には急性と慢性があります。急性の痛みの場合、「痛み」自体が自然に治ることはありますが、 本来の顎関節症が改善されているわけではありません。顎の異常のほかにも肩こりや頭痛、不眠、目の疲れなどを引き起こすことがあり、 その原因が顎関節症であるということに気がつかない場合が多いようです。

顎関節症の主な症状

あごが痛い
顎関節の周辺が、ものを噛んだり口を開けようとすると痛む。
あごを動かすと音がする
口を大きく開けるとカクっと鳴る。ジャリジャリという音の場合もある。
口が大きく開けられない
正常な人は指が縦に3本分入ります。2本分以下だと、顎関節症の疑いあり。

顎関節症の原因

顎関節症の原因は奥歯にあり!顎関節症はなぜ起こるのでしょうか?症状とともに原因を見ていきましょう。

あごが痛い

まず大前提として、100%の人は毎日歯ぎしりをしています。 単に、音がする歯ぎしりと、音がしない歯ぎしりがあるだけなのです。 自分は歯ぎしりとは無縁と思っている方は、おそらく音の出ない歯ぎしりをしているのです。 人は意識下では常にストレスにさらされており、そのストレスの解消の為に歯ぎしりをします。 歯ぎしりには3種類あります。 ぐ~っと歯を食いしばるクレンチング、ぎりぎりと歯をすり合わせるグラインディング、カチカチとカスタネットのようにかみ合わせるタッピングです。

クレンチング

グラインディング

タッピング

このとき、奥歯のかみ合わせが低いと、より深く咬みこむことになります。

関節円板

下顎はちょうど右の図のように、下顎が関節円盤という軟骨を境にして、頭蓋骨にぶら下がっています。深く咬みこむことで、下顎の骨が顎関節に押し込まれ、やがて炎症を起こします。

これが、いわゆる「あごの痛み」です。 これは顎関節症の急性症状です。

顎関節から音が鳴る

奥歯が低くなり深く咬みこむようになると、関節円盤がずれ、大きく開けた時にカクっと音が鳴るようになります。(クリック音) 奥歯のかみ合わせは、歯の生え方だったり、歯ぎしりによって削られていたり、原因は様々です。不良な矯正によっても起こります。

口が大きく開けられない

前に顎関節から音が鳴っていたけど、とうとう口が大きく開けられなくなった。という場合は、この関節円盤がずれ落ちて、それが障害物となって口を大きく開けられなくなります。

悪いかみ合わせが引き起こす障害

  • 顎の痛み
  • 肩こりや偏頭痛
  • 開口時のクリック音
  • 歯のすり減り
  • 開口障害
  • 虫歯、歯周病

顎関節症の方はもれなくかみ合わせに問題があるといえます。 当院では、アキシオグラフという特殊な機械を使って顎の動きを検査し、状態を確認後、最適なかみ合わせ治療をご提案します。 必ずしも矯正治療でなければいけないという事はありません。どうぞお気軽にご相談ください。

治療例

顎関節症はさまざまな原因が考えられるため、その治療法も状態によって異なります。診断をもとに患者さまにとってベストな治療法をご提案いたします。

補綴(ほてつ)治療

歯が抜けたままだったり歯が欠けていたりする状態で顎関節症やかみ合わせがズレている場合はインプラントや入れ歯などの治療を行います。

矯正歯科治療

歯並びの異常や不正咬合などで顎関節症やかみ合わせが悪い場合は、矯正治療を行います。

その他

治療途中でそのままになっている歯や合わなくなった入れ歯、すり減った詰め物や被せ物がある場合は、 それらを治療してかみ合わせを正しくし、顎関節症を改善していきます。

あなたは大丈夫?顎関節症チェックシート

  • □片方ばかりで噛む癖がある
  • □口が大きく開かない
  • □口を開けるとき、顎関節の音が鳴る
  • □口を開けるときに痛みがある
  • □口を開けるとき、正面から見て下顎がズレている、下顎がまっすぐに開かない
  • □かみ合わせが悪く、しっかり噛めない
  • □歯がすり減ってきた
  • □顎やその周りの筋肉が痛い
  • □肩こりや偏頭痛がよく起きる
  • □歯ぎしりをする
  • □頭がスッキリしないことがよくある

0:正しく噛めている状態です
1~5:顎関節症の検査を受けましょう。
6~10:顎関節症です。早急に治療しましょう。

F&Q

  • 顎関節症とはどんな病気でしょうか?
    「顎関節(がくかんせつ)」は、下あごが動くときに使われる耳の前方部にある関節で、左右にひとつずつあります。
    顎関節症になると、口を開けるたびに痛みや不快感が出たり、顎関節あたりから音が出たりします。重度になると、口が開けにくくなって食事や会話にも支障が生じるおそれがあります。
  • 口を開くとカクカク音がします。
    顎関節症の可能性があります。痛みが出ていなくても一度受診をおすすめします。
  • 顎関節症になる原因はなんですか?
    事故やスポーツなどであごを激しくぶつける、歯ぎしりや食いしばりの癖、かみ合わせや歯並びが悪い、顎関節の炎症などが原因となります。ストレスで発症する方もいらっしゃいます。
  • 子どもも顎関節症になりますか?
    顎関節症は年齢に関係なく発症するため、お子様も顎関節症になる可能性は十分あります。
    当クリニックでは、お子様のあごの成長段階や症状の程度に適した治療を提案しています。
  • 顎関節症は治りますか?
    顎関節症の完治は難しいですが、顎関節症になった原因に応じた適切な治療を行うことで症状を軽減できます。当クリニックでは、日常生活に支障がない程度まで回復することを目指します。
  • 顎関節症が軽度の場合、自分でケアできますか?
    あごの緊張を和らげるストレッチやマッサージ、リラクゼーション体操によって、症状の緩和が期待できます。
    ただし、不快な症状が継続している場合は早期の受診と治療をおすすめします。
  • 顎関節症が重度の場合、どんな治療方法がありますか?
    かみ合わせが原因で顎関節症を発症している場合、歯科治療をおすすめしています。
    ・歯が抜けたり歯が欠けたりしている場合・・・被せ物や詰め物治療・インプラント治療・入れ歯治療
    ・歯並びの異常の場合・・・矯正治療
    また、顎関節の構造自体に異常が見られる場合は外科手術も提案しています。
    患者様お一人おひとりの症状やご希望に応じて、複数の方法を組み合わせることもあります。
  • 顎関節症の治療で薬を服用しますか?
    痛みや炎症が見られる場合、症状を改善するために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩剤を処方いたします。また、ストレスによる緊張や不安を軽減するために抗不安薬や抗うつ薬をお使いいただくこともあります。
  • 顎関節症の治療期間や費用を知りたいです。
    患者様の状態や治療方法によって異なりますが、痛みや開口障害は数週間から数ヶ月で改善が見られます。
    費用も治療方法によって異なりますので、事前相談時にお問い合わせください。
  • 妊娠中でも顎関節症の治療を受けられますか?
    妊娠中でも顎関節症の治療は可能ですが、妊娠期間は体の変化が大きい時期ですので、治療の効果を定期的に観察し、必要に応じて調整することが大切です。
    まずは事前相談時に医師にお伝えください。
  • 顎関節症は再発しますか?
    顎関節症は再発する可能性があります。治療を途中で辞めてしまったり、顎関節に再び負荷がかかってしまったり、発症した原因が生活習慣や癖、ストレスの場合は再発リスクも高まります。

    当クリニックでは、治療後のアフターフォローとして、顎関節症の原因に応じた再発予防方法を提案しています。再び違和感や痛みなどの症状が現れた場合は、早めに医師にご相談ください。